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Author:Seil
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それはひとつの生き方
2007-09-30(Sun) 18:01






2作目です





あの二人に届けば、きっと嬉しいことだと思うのです










ある日の朝のことです

ある日の昼のことです

ある日の夜のことです



そうやって、日々は続いていく。


日々は全てを包み込みながら、まるで神様の日記帳のように続く。


どんなに小さい生き物も、漏れなく日々を暮らしていく。


だから、どんなに遠い場所にいても、同じ日々を暮らしている。


少しずつ近づくことも。少しずつ離れることも


急に近づくことも。急に離れることも


一緒にいるときも。離れ離れでいるときも




それは






























『 O n e   L i f e 』
































その日の朝、私は森の中を

いつもと同じようにいつもと同じ道を歩いていた。

掌に、緑色に輝く宝石を持ちながら。

森の中は静かな冷たい風が広がっていて、

耳を澄ませば「しーん」という音さえ聞こえてきそう

朝露で湿った土の匂いとか、オーロラのような薄い緑の光とか

朝の森は気持ちのいいもので満ちていた。

鳥が居ないのが少し残念だなって思ったけれど

可愛い動物でも居ればよかったのになって思ったけれど

それでも、私はこんな森の中が本当に気に入ってしまった。

実は、一昨日の夜に森に入ってしまって

そのときは怖くて怖くて仕方がなかった。

だから、そのときはこんな森なんかなくなっちゃえって思ったけれど。

なくならなくてよかった、朝は優しい森だ。ちょっと安心したな。



私は今日、とっておきの友達に会いに行く。

昨日も、とっておきの友達に会ったけれど

とっておきだから、何度会っても嬉しくて、何度も会おうと思ってる。

昨日は、友達が持ってきてくれた難しそうな本を二人で読んだけれど

今日は、私の持って行く宝石を、二人で見ようと思ってる。

私はちょっぴりばかだから。

難しい本よりも、きらきら光る宝石のほうが好き。

宝石は昨日、川の底から見つけてきたから

だから、誰にも見せてない、誰も知らない、とっておきの宝石

とっておきの宝石だから

とっておきの友達と

二人っきりで、見るんだ。


私の足は、少し速くなった。






























その日の朝、私は船が来る事を知った。

ここ20年ほど出ていなかった船らしい。

なんで船が森の中に来るんだろう?

私はお爺ちゃんに聞いてみた。

お爺ちゃんは、

「素敵な森だから船が来る、

  船が来るから空が喜ぶ、空が喜ぶから素敵な森になる」

って言っていた。

きっと、素敵な森だから、大っきな船が、空を喜ばせて来るんだろう。

私はなんだか嬉しかった。

私が育ったこの森が、船が来るほど素敵な森だったなんて。

船が来る事が出来るほど素敵な森だったなんて。

だから私は今日、朝からちょっぴりドキドキしてる。

大人たちはみんな、お父さんも、お母さんも、船を迎えに行くらしい。

私も来るかって誘われたけど、

大事な約束があるから行かないことにした。




私は今日、とっておきの友達と会う約束をした

昨日も、とっておきの友達と会ったけれど

とっておきだから、何度会っても嬉しくて、

何度も何度も会いたくなる。

昨日、私が持っていった本は少し難しくて、

本当のことを言うと私は全然わからなかった

それでも、友達はちゃんとわかっていたのかな?すごいなって思った。

今日は、一緒に船を見るのはどうだろう

大人たちは、大人たちで、船着場へ船を見に行くから

子供たちは、私と友達は、他のところで船を見よう

きっと大きな船を、友達と一緒に見られたら、すごく素敵だと思う。

素敵な森で、素敵なことができる。

今日、友達に会ったら教えてあげよう

この森は、本当に本当に素敵な森なんだってこと

お爺ちゃんの話もしてあげよう

私は、時間が経つのが待ち遠しくなった。






























その日の昼

お日様が、ちょうどみんなを真上から見下ろすくらいの時間に

私たちは待ち合わせの大きな大きな木の下で待ち合わせをしていた。



「やぁ、クゥちゃん」


「やぁ、羽琴くん」


「・・・なんで『くん』付け?」


「付けたかったからさ」


「えー、私、男の子じゃないのに」


「へへー、羽琴くん羽琴くん羽琴くんっ」


「いい加減怒りますよクゥさん」


「・・・なんで敬語なの?」


「そうしたかったからさ」


「えー、友達なのにー」


「へへー、・・・・・・でさ、遠かった?」


「うん、遠かった。ちょっと疲れた」


「昨日も遠かった?その前も遠かった?」


「ずっとずっと遠かった。でも、だんだん近くなってきた気がするよ」


「おおー、体が慣れてきましたな?まっちょになってきましたな?」


「あたしの筋肉をみなー、ふはは」


「うつくしいですわお嬢様」


「敬語はやめませんか羽琴さん」


「敬語はやめませんよクゥさん」


「ハタから見たらあたし達バカですよ羽琴さん」


「はははー、われわれはバカコンビだー」


「一人でやれー、ソロになれー」


「なりませんよー、ずっと二人一緒ですよー」


「それなら借金をつくって全部羽琴に振りかけてやるー」


「きゃー、なら地獄の果てまでついて行ってクゥに仕返ししてやるー」


「勘弁してくださいー、あはは」


「勘弁できませんー、あはは」




私たちは、きっと二人ともちょっとバカだから

いつものように話して、笑って、

どこかに二人一緒に行って、バカなことやって

そんな風に、毎日が過ぎて行くから、今日も過ぎていくから

だから、いつもみたいに笑って暮らしていた。



何がおきるかなんてわからないし

ましてや私達それぞれに今まで何があったかなんてことすらも知らない

それはきっと私たちがそれぞれにバカだからなんていう意味じゃなくて

それぞれに深入りしすぎないなんていう高尚な理由でもなくて

知らないほうが、きっといい友達で居られるから

裏を返せば、きっと知ってしまったら友達じゃいられなくなる

そんな予感を、多分二人とも持っていたんだと思う。

知らないこともわからないことも多すぎる

その不安は二人とも同じ。



「ねぇ、たまにこの森が怖くなることってない?」


「そうかなぁ?ずっと前から暮らしてるからわかんないなー」


「あたしは余所者ってこと?それって」


「そーとも言うー」


「あたしはね、今でもこの森が怖いよ。夜なんか特に」


「夜かぁ、夜は怖いね。あたしも昔苦手だった」


「今はビビリ脱出ですか。いい御身分ですねお嬢様」


「崇めなさいー、敬いなさいー」


深い深い森はまるで宝石のような緑色の光を二人に注ぐ。

揺れる髪は光に踊る。まるで森が二人を守るように。

輝く瞳は宝石のようにきらきら光る。

寄り添いながら、二人は歩く。

その姿は、まるで壊れない緑色の宝石のようで。

















ねぇ、羽琴ちゃん。

あたしは、すっごい羽琴ちゃんに感謝してるんだよ。

あたしはずっと寂しがり屋だったから。

友達が居ない夜が、怖くて、怖くて、怖くて。

暗い暗い夜が、夜に伸びる長い長い影が、

まるで全部あたしを狙ってるみたいだった。

そう思った夜は、いつまでもいつまでも寝ることなんてできなくて

冷たい毛布を被ったまま、不安一杯で、

ずっとずっと窓の外を眺めてた。

窓の外にならあるんじゃないかって、

あたしを照らしてくれる宝石を捜してた。

けれどそんなときの夜は、あっという間に過ぎていくの。

怖くて泣けない夜は、あっという間に流れていくの。

でも、羽琴ちゃんと会ってから

夜が長くて、長くて、泣きそうなほど長くて。

自然と涙が出てくるような夜ばかり。

怖くて泣くんじゃなくて、きっと会えないから泣くの。

そうすると、あんなに怖かった夜が特別な夜になるの。

明日は何をするのか考える夜になって、

きらきら光る宝石を捜す夜になるの。

ねぇ、羽琴ちゃん

あたしたちは友達かな?

あたしたちは当たり前の日を生きてるかな?

こんな、こんなに泣きそうな朝なのに。

緑色の宝石だけが、きらきら光ってる。

































「空を飛ぶ船って知ってる?」


「空?空を飛ぶの?」


「うん、空を飛ぶ船が、この森に来るんだよ」


「急に来るの?」


「急に来るんだよ。空を飛ぶ船が」


「いいなぁ、そんなのに乗ったらどこにでも行けるね」


「どこに行きたいの?クゥちゃん」


「どこだろ?暖かい場所がいいなぁ」


「暖かいところ?」


「うん、冬になっても寒くならないところがいい」


「あー、クゥちゃん寒がりだからねぇ」


「寒いのは嫌いなのー。羽琴ちゃんはどこに行きたい?」


「あたしは寒くてもいいからずっとずっと遠いところへ行きたいな」


「遠いところかぁ」


「うん。とにかく遠いところ。色んなとこを見ながら行きたいな」


船は果て無き距離を渡る。

例えどんなに時間をかけても

ぼんやりとしか見えてこないような雪国からも

閉ざされた雪の村から、天に浮かぶ空の町から

幾多の涙も凍らせるような風を纏いながら、船は渡っていく

その姿は固い信念で凍らされたような凛とした容を保って

遠くへ、遠くへ渡っていく





















ねぇ、クゥちゃん

突然、あたしがいなくなったらクゥちゃんは泣いてくれるかな。

突然、あたしがクゥちゃんのこと忘れたら、悲しんでくれるかな。

あたしはずっとずっとどこか遠いところへ行きたかったんだよ。

小さい頃から、本ばっかり読んで育ったから、

遠いところに憧れてばっかりだった。

見たこともない、聞いたこともない  そんな場所に行きたかった。

あたしは、行けなかったんだよ。行けなくなったんだ。

だって、クゥちゃんが居たから。

悲しすぎると思ったの。だって一人じゃ何処に居たって寂しいから。

寒い冬の季節が来たら、もうダメだって思ってた。

だから、どこまでも行く船が来るって聞いて、

本当は船に乗ってどこかへ行きたかったけど

必死になって、隠そうとしてた。

今は、なんとなくわかった気がしたから

緑色の広すぎる道が、あたしを包んでくれた気がしたから

だから、いつかどこかへ行ってみたいんだよ。

一人で、潰れそうな旅をしないといけないってこともわかってるよ。

それでも、遠い、遠い場所へ、どうしても行ってみたい。

誰もがあたしのことを知らないような場所へ、

クゥちゃんと行ってみたいんだ。

ねぇ、クゥちゃん

あたしたちは友達かな?

あたしたちは当たり前の日を生きてるかな?

気がついたら、ほら

こんなにもやもやした朝なのに

船が、空を渡ってくるんだよ。



































「船はいつごろ来るの?」


「もうすぐ来るよ。お昼過ぎだって聞いたから」


「ちょうど、降りてくるところを見れるかな?」


「見れるよ、きっと」


「じゃあ急ごうよー」


「急いで走る?二人で?」


「二人で、バカみたいに走ろう。あの夕陽に向かって!」


「まだお昼ですよクゥさん」


「バカに限界はないんです」


「大体、場所わかってるのかなー?」


「名探偵に不可能はありません!」


「いつから名探偵なのさ!」


「今さっきからー」


「場所の推理をしてください、名探偵様」


「人間の頭脳には限界があります」


「迷う探偵だったね。村で一番大きい広場に来るんだって。船」


「よーし、そこまで、競走ー!」


「あっずるいー」


森の中で、二人の女の子がじゃれあっている。

今、一人のほうが急に走り出した。

もう一人は、少しだけ怒りながら、それでも嬉しそうに追いかける。




あたしたちの持ってる不安なんか、

きっとみんなみんな、生きてるならあると思う


「あっ」

後ろで、追いかけて走っていた一人が転ぶ。




だから、きっといつか薄っぺらい嘘が剥がれるように、

あたしたちは友達でいられなくなるかもしれない


「何やってるのー」

前を走っていた一人は、方向を逆にしてもう一人に近づく




それでも、一度繋がった絆は途切れないかもしれない。

ましてや、同じように日々を暮らしているなら、きっと


「もういいよー、競走なんてしたくないよ」

身を起こしながら、一人が不満を呟く。一人は、手を伸ばす。




昨日過ごしてた天気がどうだろと、

今日寝る場所がなくても、

明日には道がわからなくなっていても


「ごめんね。でも、一緒に行こう」

一人は、恥ずかしそうに笑う。一人は、安堵して助け起こす

二人は、手を繋ぐ。手を繋いで、世界を渡ってきた船を見に行く。




きっともう、寒い冬が来たとしても、大丈夫



きっともう、照らしてくれる宝石が見つからなくても、大丈夫











二人が二人を少しでも知って生きるってこと。





それはひとつの生き方。





















あとがき





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コメント
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| #
2007-10-01 11(Mon) [編集]

おひさしぅっ☆

みたよみたよー!読んだよ読んだよー!
羽琴ちゃんもクゥちゃんも可愛いなあもうっ!
そしてこんなお話を書けるせーちゃんは素敵だなあ~☆

不安な気持ちと、きっと大丈夫っていう気持ちと・・・
あたしは森の中に住んでるわけじゃないし、
空飛ぶお船にワクワクもしないし、
真っ暗な夜に森にでかけたこともなければ川の底できれいな宝石を拾ったこともないのに、
ましてそんな時間をすごした過去もないはずなのに、
「うんうん」って頷いちゃう言葉が、せーちゃんのお話の中にたくさんあって・・・。

せーちゃんの、不思議な不思議な、そしてとても素敵な世界が大好きです☆

また更新できるようになったのかな?
ナニトゾ楽しみにしてまあす(>∀<)♪
URL | うのはな #jdgj8OxM
2007-10-01 23(Mon) [編集]

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| #
2008-06-02 16(Mon) [編集]

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| #
2009-04-19 17(Sun) [編集]

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